身延山ローカルガストロノミーツアー③

RED-U35グランプリシェフ堀内浩平ローカルガストロノミーの夕べ

2022年10月14日、15日の1泊2日ツアー

【身延山ローカルガストロノミーツアー③】RED-U35グランプリシェフ堀内浩平ローカルガストロノミーの夕べ

信仰のお山として知られる日蓮宗総本山の身延山。この周辺地域は仏教にまつわる深い歴史や豊かな文化があるだけでなく、澄んだ空気やきれいな水など自然環境にも恵まれています。そんな身延の大地で育まれた大粒で甘みの強いあけぼの大豆や旬の野菜とともに、さまざまな山梨県産の食材のみを使ったディナータイムが、今回のツアーのメインでした。

ディナーコースはこの日だけの特別なもので、考案したのはシェフの堀内浩平氏。“RED U-35 2021 ONLINE”で2021年のグランプリを受賞された実力をお持ちで、山梨県の食材を使って地域の歴史、文化なども料理で表現しようと試みる「山梨料理」を創作をされているシェフです。

身延山ローカルガストロノミーツアーでは、毎回食体験とともに、その背景にある伝統や、人々の生活、気候風土などを多面的に学べる体験もぜいたくに盛り込んでいます。今回はツアー第3回目の様子を紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

第3回身延山ローカルガストロノミーツアーの概要

あけぼの大豆や地元野菜など身延や山梨県産の食材のみを使った、堀内氏による特別なディナーがメインとなった今回のツアー。食事だけでなく、読経体験や、数珠ブレスレット作り、日蓮宗の伝統的なお祭り体験など、ツアーの舞台となっている身延山の歴史や文化などを、さまざまな角度から感じて楽しんでもらえるような体験も盛りだくさんでした。どのような内容だったのか、1日目、2日目のツアーの概要や流れを紹介します。

以下の各体験名をクリックしていただくと、詳しい内容を紹介したページへ移動するので、気になった方はぜひそちらもご覧ください。

ツアー1日目

オリエンテーション@迎賓館えびす屋(久遠寺の門前町内)
昼食@農カフェZencho(迎賓館えびす屋となり)
身延山ガイドツアー@久遠寺周辺
数珠ブレスレットづくり@梅屋瑞光堂(久遠寺の門前町内)
宿にチェックイン@覚林坊/岸之坊/窪之坊
お祭り体験@えびす屋
雅楽の演奏@えびす屋
ローカルガストロノミー体験&夕食@えびす屋

ツアーの始まりは、久遠寺の門前町にある「農カフェZencho」から。あけぼの大豆のカレーやほうとうパスタなど、身延や山梨を感じられるメニューからおのおの選んでランチを楽しんだら、身延山周辺の体験スタート。岸之坊お上人の解説での久遠寺周辺のガイドツアー、妙石坊での読経体験、パワーストーンの数珠ブレスレット作り体験と続きました。

その後、宿泊場所となるに宿坊にそれぞれチェックインののち、迎賓館えびす屋へと移動。ダイナミックな「纏(まとい)」とお囃子の演奏パフォーマンスによる日蓮宗のお祭り体験をテラスで鑑賞したら、次は夕食会場へと移り、雅楽の生演奏です。演奏が終わり、参加者の方々の気持ちがほぐれたところで、今回のメインの特別なコース料理が始まりました。夕食後は、それぞれ宿泊予定の宿坊へと移動し1日目は終了。

ツアー2日目

鐘つき見学と朝の勤行体験@久遠寺本堂
ヨガ体験@覚林坊
朝食@覚林坊/岸之坊/窪之坊
チェックアウト

2日目は、まだ薄暗い早朝の5時前には久遠寺の境内へと移動し、1日の始まりを告げる鐘つきを見て、お堂の中へ移動し朝のお勤めを体験しました。何人もの僧侶の方々による、読経と太鼓が響く迫力ある勤行の後は、覚林坊内の日朝上人をお祀りしているお堂へ移動して、朝ヨガです。ゆっくりと体をほぐして心身ともにすっきりと軽くなったら、朝食となり、その後、身支度をしてチェックアウト。盛りだくさんなツアーは、参加者の方々のペースに合わせて途中休憩も挟みながらながら進行していきました。

身延食材のマリアージュを楽しむ特別なディナーコース

今回の目玉は、シェフの堀内氏による特別なディナーコース。いつもとは趣向を変えて精進料理から離れ、身延を表現した創作料理の品々が参加者の方々を魅了しました。このコースを考案した堀内氏がどのような方なのかと合わせて、ディナーの内容を紹介します。

シェフ:堀内浩平氏

今回のディナーの特別コースを創作されたのは、山梨のローカルガストロノミーを掲げて活動をする、シェフの堀内浩平氏。“RED U-35 2021 ONLINE”という、35歳以下の才能あるシェフを発掘する日本最大級の料理コンペティションで、2021年のグランプリを受賞し、2022年現在、ソムリエの兄とともに山梨県富士吉田でレストランの開業のために準備中です。

フリーになる直前に働いていた東京・六本木にあるレストラン「Ichii」では、シェフとして料理の方針などを一任されていた堀内氏。そのときから、山梨県産の食材をメインに使い、食材を育んだ土地の歴史や伝統などをお皿の上で表現する「山梨料理」を提供されてきました。

フリーになった現在も、食を通してその背景も伝えるガストロノミーにこだわって「山梨料理」の創作に力を入れています。

堀内浩平氏

1986年、山梨県富士吉田市生まれ。調理師専門学校を卒業後、都内のレストランとホテルを経て、渡仏。北フランスの人里離れた場所に位置する2つ星レストラン「La Grenouillère」で腕を磨く。2018年に帰国し、六本木「Ichii」のシェフに就任。2021年、RED U-35 2021 ONLINEにてグランプリ(RED EGG)を受賞。2022年4月より地元山梨でレストランを開くため独立準備に入る。

身延のローカルガストロノミーを体感できる特別コースとは?

夕食会場は、今回は久遠寺の門前町にある一棟貸し宿の「迎賓館えびす屋」。第2回のツアーでは夕食会場は宿坊の覚林坊でしたが、今回は迎賓館えびす屋が会場となり、精進料理にこだわらないスタイルの食事となりました。

夕食は、このツアーのために堀内氏が考案した特別なディナーコース。身延町特産のあけぼの大豆や地元の野菜、フルーツなどとともに、全て山梨県産の食材のみを使った品々でした。

特に、あけぼの大豆は最初のスープから最後のデザートまで、ほぼ全ての料理でさまざまな形で使われていたのが驚きです。例えば最初に提供されたコンソメスープでは、調理で出た野菜のへたや切れ端などを全て鍋に入れて、約10時間コトコトとエキスを抽出して作ったものとのことで、あけぼの大豆の枝豆の殻も一緒に入れていたのだそう。

他にも、覚林坊名物の一つで女将自家製のあけぼの大豆の納豆を使った一口サイズの前菜や、あけぼの大豆から作った豆乳とおからを使った栗カボチャのパンケーキ、豆乳で作った茶碗蒸しに似た一品、同じく豆乳が使われたデザートの桑の葉のお菓子など、この上ないほどのあけぼの大豆づくしでした。

またデザートで使われていた桑の葉や、ある料理に使われていた柚子胡椒の柚子などは、身延周辺で作られている特産品で、さらに湧水ますや甲州ワインビーフは県内のオリジナルブランド。地域の魅力的な食材がふんだんに使われたぜいたくなコースでした。

また、一品ずつお皿が運ばれるとともに説明される、各品の食材や作り方などのストーリーが、この時間をよりスペシャルなものにするスパイスに。料理と結びついて地域の情景も頭に浮かぶようで、まさに「ローカルガストロノミー」を体感できる夕食タイムとなりました。

身延のローカルガストロノミーを楽しもう

参加者の方々には、堀内氏による身延を表現したクリエイティブなディナーコースを味わってもらうとともに、このツアーの舞台である身延山周辺の文化や伝統、気候風土などもさまざまな角度から学べる体験を楽しんでいただきました。

身延山ローカルガストロノミーツアーは今後も開催していきます。多様な体験を通して、宗教のお山としての身延山の魅力だけでなく、豊かな食文化があることも知ってもらい、この地域を楽しく味わえるツアーをしていくのでぜひご期待ください。