迎賓館えびすやガイドツアー
迎賓館えびす屋ガイドツアーでは、身延山久遠寺の門前町にある一棟貸しの宿の迎賓館えびす屋内を見学できます。館内は大正のモダンな雰囲気ただよう洋室や、透かし彫りの欄間(らんま)をしつらえた和室などが備えられたぜいたくな造り。「望月 善長」が代々名を襲名しながら守ってきた築約90年の邸宅です。しばらく空き家となり静かにたたずんでいましたが、現代の職人と芸術家の意匠、そして同宿の女将の情熱によって、一棟貸しの宿として命を吹き返しました。
館内の様子を少し紹介しましょう。文化財にもなっている和室の欄間は、身延山久遠寺「旧書院」の欄間を手がけた後藤功祐作による作品で、表と裏にそれぞれ異なる情景が彫られています。また、庭に面した廊下の窓は、もう生産されていない希少な手作り硝子が使われています。景色がゆらめいて映る「大正硝子」と霜のような繊細模様が描かれた「結霜硝子」はレトロな雰囲気を醸し出します。さらに奥に進むと山と川に面したオープンテラスがあり、デッキから川の方を眺めると戦争時代の名残である防空壕も見られます。
歴史を感じる建屋の中には、地元のアーティストによる作品が調度品としていくつも配置され、新旧が融合する洗練された空間として昇華されています。そんな空間演出を行ったのは女将である樋口純子氏。このガイドツアーは同氏の案内により、えびす屋に散りばめられたさまざまなストーリーや想いを聞きながら、身延やその周辺で育まれてきた技術や人々の営みに思いを馳せることができると、国籍を問わず人気があります。